「叱る」は、嫌われ役ではなく“信頼役”だ
近年、「心理的安全性」という言葉が広がる中で、上司の多くが“叱ること”を避けるようになりました。
しかし、叱らないことは優しさではなく、部下の成長機会を奪う「甘え」かもしれません。
本記事では、怒りを感情の爆発ではなく、「相手を信じる愛の表現」として活かす方法を解説します。怒りを“ぶつける”のではなく、“伝える”。この切り替えができた瞬間、部下の心は変わり、チームの空気も劇的に変わります。

① 「叱れない上司」がチームを弱くする理由
「怒ると嫌われるかも」「退職されたら困る」といった恐れが、“叱れない”原因の多くです。
しかし、叱ることを避けると、部下は「自分は何を直せばいいのか」が分からなくなります。結果として、挑戦を恐れ、現状維持を選ぶ“防御型チーム”になってしまうのです。
👉 ポイント:叱る=相手の未来への関心
叱るとは、「あなたにはもっとできる」と信じる行為。沈黙は無関心のサインであり、信頼の放棄です。
② 「怒り」を「愛情」に変える3ステップ
怒りの伝え方は、心理的な順序を意識することで、攻撃ではなく“信頼の対話”に変わります。
ステップ①:感情を客観化する(STOP)
怒りがこみ上げた瞬間に「今、自分はなぜ怒っているのか?」を3秒考える。
→「裏切られた」ではなく「期待があった」ことに気づく。
ステップ②:相手の立場に翻訳する(SHIFT)
「あなたが悪い」ではなく、「こうしてほしかった」という要望ベースで話す。
→「報告が遅い!」ではなく、「早く知らせてもらえると助かる」。
ステップ③:未来にエネルギーを向ける(SEND)
怒りを“過去の否定”ではなく、“未来への期待”として伝える。
→「次はこうしてみようか?」と締めくくる。

③ 科学的に正しい“叱り方”のフレームワーク(FBI法)
心理学で有名なFBI法(Fact・Behavior・Impact)を使うことで、感情に頼らない叱り方ができます。
- Fact(事実):「昨日の会議での発言について…」
- Behavior(行動):「他の人の話を遮ってしまっていたね」
- Impact(影響):「その結果、他の人が話しづらくなったように感じた」
感情的な「なんでそんなことをした!」ではなく、冷静に事実と影響を伝える。これが、相手の自己防衛を防ぎ、納得感を生みます。
④ 「怒り」はコントロールできる筋肉である
怒りは生まれつきの性格ではありません。
脳科学的には、怒りの感情を司る「扁桃体」の興奮を、前頭前野が制御できることが分かっています。つまり、怒りも訓練でマネジメントできる力なのです。
・深呼吸で3秒待つ
・紙に「何に怒っているのか」を書く
・“怒りのスコア”を1〜10で可視化する
これらの習慣が、怒りを暴走させず「伝える力」へと変換します。
⑤ 尊厳を守る“叱るルール”3つ
1️⃣ 人前で叱らない
恥をかかせると、怒りが「屈辱」に変わり、信頼が壊れる。
2️⃣ 人格ではなく行動を指摘する
「あなたはダメ」ではなく、「その行動は惜しい」と伝える。
3️⃣ 最後に“期待”で締める
「君ならできる」と一言添えるだけで、叱責は“希望のメッセージ”に変わる。

まとめ:「叱る」は、最大の愛の表現である
怒りを押し殺すのではなく、「伝える技術」として昇華すること。
それが、真のリーダーシップです。
上司の怒りが“相手の未来を信じる証拠”として届いたとき、部下は変わり、チームは一体化します。
「叱る勇気」がある人ほど、人を育てる力を持つ。
次のステップ
今日からできることは、「怒りの3秒ルール」を試すこと。
次にイラッとしたとき、「自分は何を期待していたのか?」と問い直してみてください。
その3秒が、あなたのリーダーシップを劇的に変える第一歩になります。
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