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「教える」を捨てよ!“自燃する”部下を生む「問う力」の極意

「部下が指示待ちで動かない」「何度教えても成長しない」ーーそんな悩みを抱えていないだろうか。
その原因は、もしかすると“教えすぎ”にあるかもしれない。

上司の役割は「指導」ではなく、「点火」です。
つまり、自燃する部下を育てる質問力を身につけ、相手の中に眠る“考える火種”に火をつけることこそが、これからのリーダーに求められる力である。

なぜなら、人は「教えられたこと」よりも、「自分で気づいたこと」に動かされる。
どれだけ正しい指示を出しても、本人の中で「納得」や「主体性」が生まれなければ、行動は一過性で終わってしまう。
一方で、上司が問いを通じて部下の内側のエンジンを回すことができれば、彼らは自ら考え、挑戦し、成長を楽しむようになる。

「自燃する部下を育てる質問力」は、単なる会話テクニックではない。
それは、部下を“依存”から“自立”へ導くためのリーダーの哲学であり、日常の言葉づかいひとつで人を変えるコミュニケーション術です。

この記事では、

  • 部下が自ら動く“問い方”のフレームワーク
  • 思考を深める傾聴の技術
  • チーム全体に“考える文化”を浸透させる習慣化のコツ

これらを実践的に解説していく。
“教える”をやめ、“問い”で灯すリーダーシップの真髄に、今こそ踏み込もう。

上司が部下に教えるのは、ある意味で“安心”できる行為だ。なぜなら、結果をコントロールできるから。しかし、「問う」ことは違う。答えを委ね、時間をかけ、相手の成長を信じる“勇気”の行為である。

例えば、部下がミスをした時に、

「どうしてこうなった?」
と問い詰めるのではなく、
「次はどうしたいと思う?」
と未来に焦点を当てる問いを投げかける。

このわずかな違いが、部下の思考を“過去の言い訳”から“未来の創造”へと切り替える。
問う力とは、責めるためではなく、気づかせるための武器

自燃型の部下を育てるには、段階的な質問設計が効果的だ。以下の3ステップが黄金パターンである。

STEP①:気づかせる問い(Awareness)

「今の状況をどう感じている?」
「何が一番の課題だと思う?」

まずは“現状を自分の言葉で整理させる”ことがスタート地点。ここで上司が解答を与えてしまうと、部下の思考が止まってしまう。

STEP②:選ばせる問い(Choice)

「もし自分が決めるとしたら、どんな方法を選ぶ?」
「3つの案の中で、どれが最も現実的だと思う?」

選択肢を委ねることで、“自分で決めた感覚”を醸成する。ここで重要なのは、上司が「正解を期待しないこと」。間違ってもいい、考えるプロセスこそが目的だからです。

STEP③:動かす問い(Action)

「いつから始めようか?」
「どんなサポートがあれば動けそう?」

行動を引き出す問いを最後に置くことで、思考を“行動化”へ導く。
この流れを意識するだけで、部下の主体性は驚くほど変化する。

3つの気づきのフレームワーク

質問がうまくても、聴き方が浅ければ、部下は心を開かない。
問う力の土台にあるのは「傾聴」。

ここで重要なのは「沈黙を恐れない」こと。
多くの上司は沈黙を埋めようとして、結論を急いでしまう。だが、沈黙の5秒こそ、部下が思考を深めるための時間なのです。

さらに、傾聴には3つのレベルがあります。

レベル内容意識すべき姿勢
① 表面的に聴く相槌・うなずき中心「聞く」だけ
② 感情を聴く言葉の裏の感情を読む「感じ取る」姿勢
③ 未来を聴く相手の可能性を信じる「信じて待つ」

上司は「③未来を聴く」姿勢を意識しよう。
「この人はもっとできる」と信じて問いを重ねたとき、部下の自己イメージは静かに変わり始めます。

問う力を日常に定着させるには、「問いベースの1on1」を習慣化することが近道だ。
ポイントは次の3つ。

  1. 質問リストを用意しない
    → 台本ではなく、相手の言葉から生まれる質問を重視。
  2. 目的を「課題解決」ではなく「気づき」に置く
    → 解決策は後でいい。まず“気づく”ことが成長の始点。
  3. 毎回の終わりに「一言アクション」を確認
    → 「次回までに1つ試すことは?」と問いで締める。

この5分の積み重ねが、やがて“考える文化”をチーム全体に根付かせる。
つまり、上司の「問う力」は、組織の“思考力”をも鍛える武器なのです。

リーダーが「教える」ことを手放すと、最初は不安になる。
「放っておいたら動かないのでは?」と感じるかもしれない。
しかし、本当に人を動かすのは“信じる力”であり、それを形にするのが“問い”になります。

問いとは、相手の可能性を信じるメッセージ
上司が問いを投げるたび、部下の中に「自分で考えていいんだ」という火が灯る。
その火がつながれば、チームはやがて自燃型組織へと進化する。

「教える」を捨て、「問い」で灯せ。
それが、これからのリーダーに求められる“点火のリーダーシップ”である。

火がチームに広がるイメージ

今日からできるアクションは3つ。

  1. 「なぜ?」を「どうしたい?」に置き換える。
  2. 沈黙の5秒を怖がらない。
  3. 毎日1回、問いで会話を始める。

小さな“問い”が積み重なったとき、チームは確実に変わります。

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