「特産品」だけじゃダメ!メディアが泣く地方創生PRの”人間臭さ”

地方創生PRは、今や全国で盛んに行われています。けれども、多くの自治体や企業がつまずくのは、「特産品PR」に終始してしまうことです。
SNSやメディアで話題になる地方PRの多くは、地方創生PRの“人間臭さ”を描いています。つまり、地域の人の想い・背景・葛藤こそが、最も強い共感を呼び、記者や視聴者の心を動かしているのです。

では、なぜ“人”を中心に据えたPRが、メディアを動かすのでしょうか?そして、どうすれば「特産品PR」から脱却し、「人間臭い物語」でファンを生むPRに進化できるのでしょうか。
本稿では、地方創生PRを成功に導く“人”を起点としたストーリー設計のポイントを、実例を交えて詳しく解説します。

モノから人への構造図

多くの自治体が、「うちの特産品を知ってほしい」という思いでPRを始めます。もちろん、特産品自体は地域の誇りです。しかし、それだけでは競争に埋もれやすく、メディアも「どこかで見た話」として取り上げにくいのです。

一方で、ヒットした地方PRの裏には必ず「人」がいます。
たとえば――
・家業を継いだ若手農家が“新しい販路”を切り開いた話
・シャッター街を再生させた商店主の挑戦
・移住者が地域に溶け込みながら新事業を始めたストーリー

こうした“人間臭いエピソード”があると、特産品やサービスに感情の文脈が加わります。商品が「誰の想いから生まれたのか」を語ることで、ブランドは“物語性”を帯び、地域全体への興味が広がります。

メディアは「ニュース性」よりも、「人のドラマ」に共感します。
では、どうすればその“共感構造”をPRで設計できるのでしょうか。
ポイントは次の3つです。

(1)主人公を設定する

まずは「誰の物語か」を明確にします。自治体ではなく、あくまで“個人”が主人公。市役所職員、地元企業の代表、若手職人、地域の母さん――誰でも構いません。その人の生き様に焦点を当てましょう。

(2)課題と葛藤を描く

ストーリーには“困難”が必要です。順調な話より、「苦しんだけれど、それでもやり抜いた」エピソードが共感を呼びます。
例:
「後継者がいなかったが、地元の高校生が挑戦した」
「最初は誰にも信じてもらえなかったけど、SNSが転機になった」

(3)変化の瞬間を可視化する

メディアが記事化したくなるのは、変化の瞬間がある時。
“売上が上がった”よりも、“人が変わった”方が記者の心に響きます。
「彼女の笑顔が戻った」「町に灯りがついた」――そんな象徴的な一瞬を見せることが重要です。

地方創生PRの現場では、「実績を出さないと評価されない」と数字を並べがちです。しかし、メディアは数字よりも現場の温度感を求めています。

たとえば、「観光客2倍」よりも
「祭りを復活させた地元中学生の想い」の方が記者の心を打ちます。

数字は後から補足すれば十分です。それよりも、

  • どんな出会いがあったか
  • どんな感情が生まれたか
  • どんな笑顔が戻ったか

こうした“におい”のある情報を丁寧に拾い上げることが、共感PRの鍵になります。MONWORLDの現場でも、取材メモや会話の中の一言が、最も強いPR素材になることが多いのです。

人間臭いPRは、最終的に「共感」だけで終わらせてはいけません。
そこから「理解→行動」へとつなげるストーリー設計が必要です。

ステップ① 共感:リアルな感情を引き出す

SNS動画・1枚写真・現場の声など、「本物の瞬間」を発信。短尺でも、感情が伝われば共感が生まれます。

ステップ② 理解:ストーリーで深く届ける

記事・インタビュー・noteで「なぜ挑戦したのか」「何を大切にしているのか」を伝えます。読者の中に“共感の再現”が起こるように構成します。

ステップ③ 行動:小さな参加を促す

クラファン・イベント・商品購入・移住体験など、“関われる導線”をセットすることで、共感が行動へと変わります。

この3段構造を意識するだけで、PRは単なる「お知らせ」から、「心が動く物語」へと進化します。

共感、理解、行動の3段ピラミッド

ある小さな町で、廃業寸前だった和菓子屋の物語がありました。
店主の娘が「町の味を守りたい」とレシピを受け継ぎ、SNSで発信を始めたところ、全国から応援が集まりました。メディア取材も相次ぎ、結果的に売上も回復。しかし、記者が記事を書いた理由は「数字」ではなく「涙」でした。

彼女が取材中に漏らした一言――
「お父さんの背中を思い出したら、泣けてきて」

この“におい”のある言葉が、記事のリード文に使われたのです。
つまり、PRとは“宣伝”ではなく、“人間の温度を伝える行為”です。

地方創生PRの成功は、「どれだけ良い特産品を持っているか」ではなく、
「どれだけリアルな人間ドラマを描けるか」にかかっています。

メディアが泣くのは、“心の奥の物語”に触れたとき。
だからこそ、PR担当者は“数字”ではなく“人”を見つめる必要があります。

あなたの町には、まだ知られていないヒーローがいます。
その人の想いを丁寧にすくい上げ、物語に変えること。
それが、共感が拡散を生む地方創生PRの第一歩です。

人の物語から拡散への循環図
  1. 現場の声を取材する時間をつくる。
    デスクではなく、人のいる場所へ行く。
  2. 数字を語る前に、想いを聞く。
    「なぜ始めたのか」を言語化してもらう。
  3. PRを“書く”より“感じる”。
    感情を中心に構成し、記者が“人間”を感じられる文章に。

そして、もし“物語を形にする広報設計”を支援してほしいときは、
共感を軸にしたPRを得意とする【MONWORLD】が伴走します。
人の想いを「伝わる形」にする広報支援で、地域の価値を再発見しましょう。
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