広報の仕事では、社内外を問わず人と接し、共感を得て、情報を伝える力が不可欠です。信頼を築くコミュニケーションなしでは、広報のメッセージはなかなか届きません。
そこで今回は、広報担当者としての資質をさらに高めるためのコミュニケーションに関する書籍を3冊厳選。最新の研究も交えつつ、実務にすぐ役立つ作品を紹介します。
1. 『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』 岸見一郎・古賀史健(ダイヤモンド社)
心理学界で長く読み継がれる定番。アドラー心理学をベースに、 「人は他人の期待ではなく自分らしく生きること」 を学ぶ自己啓発書です。
広報という役割では、相手の期待に応えようと自分を捨てるあまり、伝えたい本質がぼやけるケースがあります。この本は、そんな状況を乗り越える強さと自立したコミュニケーションの大切さを教えてくれます。
具体的には 「目的の軸を自分の中に置く」 「承認ではなく信頼を築く」 といった視点が、言葉の力だけでなく姿勢にも反映されるようになります。
対立も恐れず、自分の意見を真っ直ぐに伝える力を養いたい広報担当者におすすめです。
2. 『雑談力が上がる話し方』五百田達成(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
「何を話せばいいかわからない」 「会話が続かない」 という人に向けて、雑談を“盛り上げる”のではなく“続ける”技術を体系化。質問の投げ方、相槌の打ち方、相手が心地よくなるリアクションのコツまで網羅しています。
おすすめポイント
広報担当者は社内外での信頼関係づくりが重要ですが、その入口となるのが雑談。五百田氏は心理学に基づいた会話のフレームを提示しており、営業・PR・取材現場でもすぐ活用できます。実践しやすい「一言フレーズ例」 が豊富なのも魅力です。
3. 『頭のいい人が話す前に考えていること』安達裕哉(ダイヤモンド社)
ビジネスコンサルタントとして多くの企業課題に向き合ってきた著者が、 「話す前に考えるべきこと」 を体系化した一冊です。話す内容や順序だけでなく、聞き手の理解度や感情、状況に合わせた戦略的な話し方を解説しています。
おすすめポイント
広報担当者は 「何を話すか」 以上に 「どう話すか」 が問われます。本書は単なる話し方のテクニック集ではなく、話す前の思考プロセスそのものに焦点を当てています。特に、
- 目的を明確にする(情報提供か、説得か、信頼構築か)
- 相手の立場と背景を想定する
- 伝えるべきことと省くべきことを選別する
といった事前準備のフレームワークは、記者会見や取材対応、社内プレゼンなどあらゆる広報活動に応用できます。
また、著者のコンサル経験からくる事例が豊富で、現場で直面する課題への対応策が具体的。話す力を根本から鍛えるための 「思考整理の指南書」 として、広報・PR担当者に強くおすすめできる一冊です。
まとめ
コミュニケーション力は、広報の土台となるスキルです。「自立した信頼感(アドラー)」、 「科学的な共感」から成る発信、「即興対応力」を鍛える対話技術。どれも広報の現場で即効性のあるテーマです。ぜひ、気になる1冊から実践して、あなたの発信に磨きをかけてください!