観光だけじゃ終わらせない!来訪者を地域ファンに変えるPR戦略

日本各地で観光資源を活かした地域振興の取り組みが進んでいます。確かに、多くの観光地ではイベントやPR施策によって一定の集客に成功しています。しかし、観光客が地域を訪れたとしても、その多くが「一度きりの訪問者」で終わってしまうのが現実です。消費は一過性にとどまり、地域経済への持続的な貢献にはつながっていません。

なぜそのような状況になるのでしょうか。理由の一つは、観光客が「消費者」として扱われ、体験の先にある関係性づくりが不足しているからです。観光に来てお金を落としてもらうことをゴールにしてしまうと、訪問者は「お客さん」で終わります。しかし、彼らを「地域のファン」へと転換できれば、再訪や情報発信、関係人口の増加へと広がっていくのです。

この課題を解決するには、来訪前・来訪中・来訪後の広報プロセスを見直し、長期的な関係性を設計することが不可欠です。

観光客が去る現状

観光客をファン化する第一歩は、来訪前にすでに「心を動かしている」状態を作ることです。単なる観光情報ではなく、物語を伝えることで共感を生み出せます。

例えば、観光パンフレットやWebサイトに「世界遺産の町」という説明を載せるだけでは、情報としての魅力にとどまります。しかし、「100年続く伝統を受け継ぐ家族の物語」「地域の人々が守り続けた景観」といったストーリーを添えると、訪れる前から観光客は感情移入を始めます。

また、SNSを活用した発信も効果的です。Instagramで職人の手元をクローズアップした写真を投稿したり、TikTokで地元学生が語る「わたしたちの町の魅力」を動画で発信したりすると、地域は「自分にとって関わりたい場所」として認識されやすくなります。

こうして「来る前から物語に惹きつける」ことが、観光客を地域ファンに変える第一のプロセスです。

拡散される仕組み

次のポイントは、実際に訪れたときの体験です。観光客を単なる消費者にせず、地域の一員として参加できる体験を設計することで、思い出はより強固なものになります。

  • 住民と交流する体験
    例えば農家での収穫体験や、漁師の案内で行う市場ツアー。地元の人との触れ合いは「また来たい」と思わせる大きな要因になります。
  • 企業とのコラボ体験
    工場見学や企業のCSR活動に観光客を招くと、地域ブランドと企業ブランドの両方に触れられます。お土産として持ち帰る商品も「思い出の証」になりやすいです。
  • 発信しやすい場のデザイン
    観光客が自らSNSに投稿したくなるような仕掛けを用意するのも効果的です。たとえば限定のフォトスポット、夜だけ出現するライトアップアート、参加証明としてのデジタルバッジなど。これらは「特別感」を演出し、自然に拡散を誘発します。

こうした体験を通して、訪問者は「お金を使った人」ではなく「関わった人」として地域を記憶します。

多くの地域が見落としがちなのが、来訪後のコミュニケーションです。しかし実際には、このフェーズこそがファン化の分岐点となります。

  • 感謝と継続的な接点づくり
    来訪者に対してSNSで「ありがとう」のメッセージを送る、もしくはメールマガジンで次のイベント情報を届けるだけでも印象は大きく変わります。
  • オンラインイベントの開催
    オンライン座談会や、地域の風景をライブ配信するオンラインツアーは、再訪を促すきっかけになります。
  • 限定情報や特典の提供
    訪問者限定で翌年の祭りの先行案内をする、ふるさと納税やクラウドファンディングに招待するなど、特別扱いを演出することで帰属意識が高まります。

来訪後に「つながりを感じられるかどうか」が、ファン化を左右します。

定着の流れ

さらに、広報を一度きりの施策で終わらせず、仕組みとして継続させることが大切です。

  • コミュニティ化
    観光客を対象にしたオンラインサロンやファンクラブを運営すると、継続的な交流が可能になります。
  • 関係人口としての関わり
    短期的な観光消費から、ふるさと納税や地域応援団体への参加など、長期的な関わりへ導くことができます。
  • 成果測定と改善
    KPIとしては再訪率、SNSでの投稿数、コミュニティ参加者数などを設定。数値をもとに改善を重ねることで、広報は「単発施策」から「文化」へと進化します。
地域ファンが増えた図

観光をきっかけにした出会いを、広報の力で持続的な関係へと変えていく。それが地域を強くし、未来へとつなぐ戦略です。

広報の役割はもはや「人を呼ぶこと」だけではありません。むしろ、「人をつなぎとめ、関係性を深めること」こそが新しい広報の使命といえるでしょう。

ストーリーテリングで心を動かし、参加体験で関与を深め、アフターフォローで長期的な絆を育む。この三つを意識すれば、観光客は単なる訪問者から「地域の仲間」へと変わります。

次にできるアクションは、小さくても構いません。例えば、観光地を訪れた人に感謝のメッセージを送ること、翌年の祭りをSNSで先行告知することなど、すぐに実践できるものから始めましょう。

そうした積み重ねが、やがて「また行きたい」「応援したい」と思わせるファンづくりにつながります。観光をきっかけに築いた関係を、広報の力で未来につなげる。それこそが地域を輝かせるPR戦略なのです。

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