観光客は来るのに地元は沈黙?地域熱量を再点火する広報術

観光地としての知名度は高く、季節ごとに観光客も多く訪れる。さらに、その地域には全国的に知られた有名企業も存在しているーーそれにもかかわらず、地元の空気はどこか静かで、盛り上がりに欠けている。そんな現象に直面している担当者は少なくありません。

実際、観光客向けの施策は一定の成果を出しているのに、地元住民や企業が主体的に関わる機会が少なく、結果として 「観光は観光」 「地域は地域」 という分断が生まれてしまうのです。では、この温度差をどう埋め、地域全体の熱量を再び高められるのでしょうか。

まず押さえるべきは、観光客と地元住民では情報の受け取り方が根本的に異なるという事実です。観光客向けの発信は 「来てもらうこと」 にフォーカスしがちですが、住民にとってはその情報が生活に直結しない場合、関心が薄くなります。

加えて、地域内での情報共有が不足しているケースも多く見られます。例えば観光イベントを開催しても、その詳細や裏側が地元にほとんど伝わっていなければ 「やってるらしいね」 で終わってしまいます。このような片方向の発信では、熱量は高まりません。

地域内外の温度差マップ

地域の熱量を高めるためには、まず 「地域の声」 をしっかり拾い上げる必要があります。アンケートや座談会など、小規模でも直接的なコミュニケーションを通じて、住民や企業の意見を吸い上げましょう。

次に重要なのは、発信を双方向にすることです。観光客からの反応を地元にフィードバックし、逆に地元からのアイデアを観光施策に反映させる。こうしたやり取りが、双方の当事者意識を高めます。

双方向広報フロー図

現代の広報ではSNS活用は欠かせませんが、観光客向けだけでなく、地元目線の発信も意識しましょう。たとえば 「地元の人しか知らない絶景ポイント」 「昔から続く行事の裏話」 など、観光客にとっては新鮮で、地元にとっては誇らしいコンテンツを発信します。

さらに、SNS発信はリアルイベントと組み合わせることで効果が倍増します。オンラインで興味を持った人が実際に訪れる、そしてその体験を再びSNSで共有するーーこの循環が熱量を持続させます。

SNS×リアルイベントの連携図

イベントや施策は一度きりで終わらせず、フォローアップを行いましょう。イベント参加者にお礼メッセージや次回予告を送る、オンラインコミュニティで感想やアイデアを共有するなど、継続的な接点が関係人口を育てます。

また、地域全体で共有できるビジョンを持つことも重要です。 「この町を〇〇な場所にしたい」 という未来像を掲げることで、観光客・住民・企業の行動を同じ方向へ揃えることができます。

  • 課題の本質は 「外向き発信偏重」 と 「内側の不関与」
  • 双方向型広報で住民・企業・観光客を巻き込む
  • SNSとリアルイベントを融合させ、熱量を循環させる
  • 長期的なビジョンを共有し、関係人口を増やす流れをつくる

次のイベントやキャンペーンでは、まず地元住民や企業の声を集めるところから始めてみましょう。そして、その声を観光客向け施策に反映させることで、地域全体の空気は確実に変わります。

あなたの一歩が、地域の熱量を再び高めるきっかけになります。

インタビューならネコ記者にお任せ。素早い行動力と鋭い観察力で熱を伝える記事を書き上げる。MONWORLDのネズが舎弟。マグロを見ると性格が変わる。

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